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■ 良い寝具、良い睡眠、良い成績の関係
私たちが健康的な毎日を過ごすために必要な休息・睡眠について浜松大学健康プロデュース学部部長の田中誠一先生に解説していただきます。これまで多くのトップアスリートを指導してきた立場から特に睡眠の「質」が疲労回復にいかに重要なのかをうかがってみましょう。
浜松大学健康
プロデュース学部部長
田中誠一教授
<田中誠一教授 プロフィール>
浜松大学健康プロデュース学部部長
これまで、ハンマー投げ・室伏重信(室伏宏治選手の父)、ジャイアンツ・長島茂雄(自主トレ指導)、F1レーサー・中嶋悟、フィギュアスケート・八木沼純子、ボクシング・井岡弘樹、ゴルフ・金井清一、同・伊藤佳子、同・塩谷育代、読売巨人軍(1992年の約1年間)、仙台育英高校(野球)、電電関東(野球)本田技研鈴鹿(野球)など多数のプロ・アマ選手及びチームを育成。最近は女子プロゴルファー宮里藍選手のトレーナーとして活躍。
著書: 「10歳若返るストレッチング」「新ゴルフ体操」「田中式ゴルフの奇跡」「子供の運動能力を伸ばす本」「勝つ、スポーツサイエンス」「巨人軍ノート」「知的ゴルフのすすめ」「1分間ストレッチング」「驚異のウォーキング革命―体も頭もよくなる」「ゴルフ、一気に開眼」
いかに早く眠るかが疲労回復の鍵
人間が健康な身体を保つために必要なものは、運動、食事、それに休息です。その休息の中でも、最も大きな割合いを占めるのが睡眠です。睡眠は心身の疲労を回復させるためには欠かせないものです。しかし、ただ長い時間眠れば良いというわけではありません。いかに深く眠るか、さらに言うならば、いかに短時間で深い眠りに入るかが重要なのです。
  ナポレオンは4時間しか眠らなくとも、精力的な活動をしたというエピソードは有名です。もしそうだとすると、ナポレオンという人は、短時間で深い睡眠をとることができた人であったと推測できます。それほど睡眠の質が睡眠の時間よりも重要なのです。
  私が指導してきたようなトップアスリートたちも、いかに質の高い睡眠を確保をすることができるかが、競技の成績を決めることになります。もちろん、一般の方たちも質の高い睡眠を取ることが、活動の大切な原動力になっているのです。
トップアスリートほど、脳が疲労する
睡眠が、身体の疲れを回復させるだけでなく、頭の疲れつまり脳の疲労を回復させるためにもとても重要なことは意外に知られていません。そして、スポーツで良い結果を残すためには、やはり脳の疲労回復が決め手になるのです。特にトップアスリートと呼ばれるような優秀な選手は、普段のトレーニングや競技において、非常に脳を酷使します。
  トップアスリートたちは、良い結果を出すために身体の機能とは別の2つの頭脳の力が要求されます。まず計算・計画・推理といった作戦力、別の言い方では「問題解決能力」です。 次に、競技に際して気持ちが惑わされずに平常心を保ち続ける「情緒の安定性」も必須の条件です。この2つの知的エネルギーを生み出す力をスポーツ医学の分野では「精神力」と呼んでいます。この精神力を維持するために栄養と睡眠が必要になるわけです。
  ですから私は、トップアスリートたちには眠り方を厳しく指導しています。遠征先のベッドが良くない場合には枕を持参させたり、床で寝るように言うことさえもありました。 それは、寝具の良し悪しが睡眠の質を左右するからです。
寝具が良いと、ゴルフの成績も上がる
硬すぎる寝具は、血流を悪くして寝返りをうつようになります。寝返りばかりうっていれば、深い眠りを得ることはできません。
  ですから硬すぎる寝具で寝ている人は、充分に睡眠を取った感覚も得られにくいですし、実際に疲労の回復になっていないのです。逆に、柔らかすぎるマットを敷いたベッドや厚すぎる敷き布団に寝ると、肩こりの原因になります。かつては日本のホテルのベッドも、やたらとマットが厚くて柔らか過ぎたために、私もスポーツ選手の遠征先の寝具について、とても神経を使ったわけです。
  例えばゴルフで良い成績を残すには、肩こりがあっては絶対にだめです。肩こりがあると、自分では気が付かなくてもスイングのテイクバックが浅くなるからです。また、柔らかすぎる寝具によって、身体が不自然に沈むため、back pain つまり背痛や、low back pain つまり腰痛を引き起こします。
  人間は何万年もの間、土の上やワラや落ち葉の上で寝ていたわけですから、急に柔らかすぎる寝具に寝ると故障を起こすわけです。
  しかし、もちろん現代人が土や落ち葉の上で寝るわけにはいきません。そこで、現代人が深い眠りを得るためには、ちょうど良い柔らかさをもった寝具が必要になるのです。